ドラクエ10の世界では、2022年6月現在、職業レベルの上限がLv122となっています。
新たに冒険を開始したキャラクターのレベル上限はLv50となっていて、それより高いレベルに上げるためには、レベル上限解放クエストをクリアする必要があります。
そのクエスト数が現時点で合計21話に達していて、新規プレイヤーにしても、既存プレイヤーが新たなサブキャラを育成するにしても、メタル迷宮招待券や元気玉(経験値+100%)、エンゼルスライム帽(経験値+300%)、課金アイテムの修練の心得(経験値+100%)など、比較的サクサクとレベルを上げやすい環境が整っているにも関わらず、逐一足止めされるめんどくさい存在になってしまっています。
なぜレベル上限解放クエストがあるの?
ドラクエ10はオンラインゲームなので、他のナンバリングタイトルのように、最初から上限のLv99まで上げられるというような仕様ではありません。ストーリーが拡張されるごとに敵の強さも変化し、それに応じたレベルに上げる必要が出てくるので、アップデートごとにレベル上限が解放されていくという仕組みです。
長年のプレイヤーで、数ヶ月おきのアップデートでレベル上限が解放されていく、という経験をしてきた人々にとっては、この上限解放クエストの存在はそれほど大きな問題ではありませんでした。むしろ、新たなストーリーとともに配信されるレベル上限解放クエストによって、さらに自キャラを強化させることを楽しんでこられたわけです。
ところが、ドラクエ10は今年(2022年)8月に、サービス開始10周年を迎えます。既存のプレイヤーも多いですが、新たに冒険を始めるプレイヤーもいれば、サブキャラを作って再度ストーリーを楽しんでいるプレイヤーもいます。彼らにとってレベル上限解放クエストは、もはや次のような存在なのです。
— ヨモゲーム@ヨモギ (@ymgluck) June 20, 2022
まさに終わらないドラクエ……とか言ってる場合ではありませんw
Lv50まで上げて、数ヶ月経ってからアップデートでLv55解放クエストが実装されて…というようなことを、リアルタイムで何年もかけて繰り返してきたプレイヤーは、まだ良いのです。
2022年6月現在では、合計21話ものクエストが実装済みで、Lv55を解放した後にエンゼルスライム帽をかぶってメタル迷宮に行くと、迷宮から出てきたときには、もうレベルカンストしているくらいですから、「とりあえず1職レベルを上げ切ってしまおう」と考えたプレイヤーは、ヨモゲームさんがツイートされているように、上限解放クエストが次から次へと始まる、いわばわんこそば状態になります。
なぜレベル上限を解放する都度、クエストをクリアする必要があるような仕組みになっているかというと、おそらく先行していた同じスクエニのMMORPGであるFF11を参考に作られたのだろうと考えられます。
FF11では、「限界突破クエスト」をクリアするごとに、上限レベルが5刻みで解放され、サービス開始21年目に入った現在ではLv99が上限になっています。長らくレベル上限となっていたLv75の解放クエストのみ、複数のクエストをクリアする必要があるようなので、クエストの総数は多いものの、レベル上限解放クエストの進行に関しては全部で10段階です。ドラクエ10の上限解放が21段階もあるというのは、やはり多すぎる気がします。
小刻みすぎるレベル上限解放
Lv90までの上限解放は、参考にしたと思われるFF11と同じ間隔だったのですが、Lv93解放から突然3刻みになります。Lv90~99の解放についてはVer.3時代に行われたのですが、少なくともこれら上限解放クエストの企画段階では、Lv99に達した後をどうするかということが、どうやら明確には決まっていなかったようなのです。
Ver.2まで、わりととんとん拍子でレベル上限が解放されてきたドラクエ10ですが、ドラクエシリーズでは、過去のナンバリング作品のレベル上限はLv99なので、それを踏襲して、ドラクエ9のように「転生」といった形で別の成長要素にするか、Lv100以降も解放していくかという点で検討を繰り返し、最終的には、ひとまずLv120くらいまでは段階的に解放していく、という方針に決まったそうです。
ちなみにFF11では、2002年のサービス開始以降、数ヶ月間隔で5ずつレベル上限を解放していったものの、Lv75がレベル上限という時期が、2003年12月~2010年6月の間、実に6年半も続いたのです。サービス開始の翌年にはレベル上限に達し、そのまま当面は上限解放しないという方針だったわけですね。それでは6年半もの間、FF11のプレイヤーは、どのようにキャラクターの強化をしていたかというと、レベルに代わる成長システムとして「メリットポイント」というものがあるそうです。
この「メリットポイント」がどういうものか、FF11のプレイ経験がないわたしには、説明を読んでもあまりピンと来ないのですが、おそらくドラクエ10でいうところの特訓ポイントや達人のオーブ、女神の木などの要素を併せ持つようなものかなと。違っていたらごめんなさいw
ドラクエ10でも、FF11と同様に別の成長システムを検討したのではないかと思われますが、結局Ver.4.0で、ドラクエのナンバリング作品では初となるLv100が解放され、Ver.4.2でLv105、Ver.4.4でLv108が解放された後は、小刻みに2ずつの解放が続き、Ver.6.1ではLv122の解放により、「ひとまずLv120くらいまでは」という方針が、その後もしばらく継続されることになったようです。
問題は2ずつの解放という小刻みさ。すなわちそれは、今の時点ですでに21話もあるレベル上限解放クエストが、今後もまだまだ増えていくことを意味します。
レベル上限解放クエストを「省略」できない?
レベル上限解放クエストは、Ver.1時代は「女神の意志・解放の時」というシリーズで順次配信されました。このシリーズは、六聖陣の1人である闘戦聖母に仕えている、5人の聖使者の依頼を受ける形で進み、Ver.2.0で実装された6話目のクエスト「闘戦聖母の試練」で、その闘戦聖母自身が姿を現し、Lv80を解放して完結します。

この闘戦聖母ですが、Ver.5のストーリーに登場する重要人物でもあります。ずっと神兵のよろいセットで姿を隠していましたが、あるクエストでその素顔も明らかになります。いたってふつうの風貌ですがw
このクエストシリーズをクリアする際、毎回「……聞け。アストルティアの子よ。」で始まる天の声が聞こえてきますが、この声を茅野愛衣さんの声で脳内再生するとしっくりきます。明らかに女神ルティアナの声です。Ver.5の最後の方で、似たような台詞を発しますからね。
ストーリー的には、この時点でまだ女神は復活していないはずなので、その場で女神自身(あるいはその意識体のような存在)が話しているのか、記憶の結晶のような謎技術で、あらかじめ録音された音声が流されているのか、そのへんはわかりませんが、相手は女神ですからなんでもできると←
そしてVer.2.4~Ver.3.5後期にかけてのレベル上限解放は、「光導くがごとく」という新シリーズに受け継がれます。今度は、同じく六聖陣の1人である聖光教主に仕えている、4人の光導使の依頼を受ける形で進み、5話目の「正義の心 宿りし時に」で、聖光教主が登場し、Lv99を解放して完結します。
その際、聖光教主自身が「大いなる闇の根源」の真の名として「異界滅神ジャゴヌバ」という名前を、初めて語るのです。

Ver.1~3のレベル上限解放については、このようにストーリー上の重要人物である六聖陣が登場していて、「来たるべき異界滅神ジャゴヌバとの最終決戦に備える」という大きな目的があって、レベルの上限を解放してくれるというわけです。
このように、ストーリー上の重要人物が登場し、レベル上限解放の目的が語られたり、最終決戦(Ver.5まで)におけるラスボスの名前を明かすなどの要素が含まれるクエストであるだけに、これら一連のクエストを廃止、または一部を省略するのは難しいのかなと、最近までわたしはそう思っていました。
しかしながら、ドラクエ10のストーリーを進める上では、このレベル以上でなければ進行できない、というような制限がありません。Lv50未満で、レベル上限を一度も解放しないまま異界滅神ジャゴヌバを倒すということも、理論上は可能ではありますので、六聖陣のふたりと一度も会わないまま、光の郷フィネトカで初対面となるようなことも、一応できます。(おそらくその場合は別の台詞が用意されているのでしょう)
そうであれば、今後の緩和施策において、次のようなことは可能ではないかと考えられます。
- レベル上限解放クエスト自体を削除する
- レベル上限解放クエストの「みなしクリア」に類することを可能とする
- 同じアカウントの別キャラクターがクリア済みの場合に限って、レベル上限解放クエストの「みなしクリア」に類することを可能とする
1については、おそらく実施されることはありません。たとえばFF14では、初期のクエストの一部や、あまり使い勝手の良くなかったアクション自体をバサッと削除してしまうなど、わりと思い切った変更が行われることも多々ありますが、ドラクエ10の運営さんは、良くも悪くも保守的なところがあり、一度実装した期間限定でないクエストそのものを消してしまうようなことは、おそらくやらないと思います。
そうであれば、Ver.3を開始する際に必須だったクエストの一部を「みなしクリア」できたように、それに類することをレベル上限解放でも行えるようにすると、一部の新規プレイヤーや、新たなサブキャラを育成したいプレイヤーからは好評を得られるのではないでしょうか。全部のレベル上限解放クエストを「みなしクリア」にできるのではなく、その時点の最新バージョンのふたつくらい前(Ver.6期間であればVer.4まで)のみ、「みなしクリア」できるというくらいが良いかと思われます。
ただし、レベル上限解放クエストを「みなしクリア」に類する状態に設定した場合に、通常では得られる経験値や名声などを得られないというような、不可逆的な条件をつける必要はあると思われます。そうしないと、通常通りにクエストをクリアした人との差が生まれてしまうためで、経験値や名声が受け取れないという、若干の不利を受諾した場合に限り、みなしクリア扱いにできる形の方が良いでしょう。
3についても同様ですが、これはサブキャラ育成に限られます。最近は、同じアカウントの他のキャラクターが視聴済みのムービーをスキップできるようにしたり、受け取り済みの継続特典を別のキャラクターも受け取れるようになったり、そういうサブキャラ育成を意識したような緩和も順次行われているので、それに類するものとして、できても良いのではないでしょうか。
そもそもレベル上限解放クエスト自体不要だったのでは?
これは今さらの話でもあるので、今後どうこうできる話でもないだろうという前提で書きます。
Ver.1~3時代、すなわちLv99までの上限解放クエストについて、これはあっても良かったとは思っています。リアルタイムでロックフェス(※) などを経験してきたプレイヤーにとって、それは(当時は大変な思いをされたことは想像に難くありませんがw)今となってはかけがえのない思い出でもあるわけですし、そういう体験をプレイヤーと共有できてきたのはオンラインならではの醍醐味でもありますからね。
ただ、Lv100以降というのは、それまでのドラクエシリーズのナンバリング作品では存在したことのないレベル帯であり、そのレベルを解放したのを機に、それまでのような「上限解放クエスト」ではなく、「追加パッケージの導入で自動的に上限解放される」ような仕組みに変えてしまっても良かったのではないでしょうか。
FF14の「新生」は上限Lv50で始まり、「蒼天」にバージョンアップすると上限がLv60になります。同様に「紅蓮」でLv70、「漆黒」でLv80、最新の「暁月」でLv90と、拡張パッケージを導入するごとに、レベル上限が自動的に切り替わるようになっています。
同じようにドラクエ10でも、Ver.4を導入すると上限Lv110、Ver.5を導入するとLv120、Ver.6を導入するとLv130に、自動的に上限が切り替わるようにしてしまえば良かったのに…と思うのです。

ドラクエ10の世界では、人間の限界がLv99なのだそうで、Lv100解放クエストでは星辰武王の前で創世の果実を食べることで、称号「ヒトを超えし者」を獲得するわけです。ヒトを超えたのだから、その先はクエストなしで上限解放の形に切り替えても良かったし、そうするチャンスだったのではないかなと…
もっとも、FF14ではそのバージョンの最高レベルに達していないと、ストーリーを進めることもできないのに対して、ドラクエ10では、レベルがストーリー進行の前提条件になってはいません。そういう違いはあるものの、端的に言ってしまえば、FF14のレベル上限解放って、運営さんにとってもプレイヤーにとっても、どちらも楽な形式ですよねw
ドラクエ10は、今の時点ですでにレベル上限解放クエストが21話もありますが、7月に予定されているVer.6.2でも、おそらくLv124への上限解放クエストが追加されるはずです(※)。この調子で小刻みなレベル上限解放を繰り返していると、クエスト数はさらに増えていきますし、新規プレイヤーやサブキャラにとって、育成の足枷になってしまう気がするのです。アップデートと同時にレベル上限解放を行っているプレイヤーはまだしも、後発になればなるほど、その膨大なクエスト数がのしかかってくることになるのです。
Lv100解放クエストからは、シリーズ「聖戦への導き」となり、その後は星辰武王に仕えている星拳士による上限解放クエストがLv112解放まで4話続き、最後に星辰武王が再度Lv114を解放して、その全6話が完結します。
そして、Lv116解放クエストから「天声を聞きし者」が始まり、担当するのはまたも六聖陣のひとり天唱楽師です。今回は「五声」のエナジーをハートに刻み込めという内容で、Ver.6.1までに「歌声」「呼声」「言声」「哭声」の各化身を討伐しているので、次回Lv124解放で最終回になるものと思われます。

そんなわけで、Lv100以降も同じようなパターンで、2ずつレベル上限解放が続いているのです。正直、このパターンで続けていくと、キリがないのではないかと思っています。六聖陣のうち、すでに4人までがレベル上限解放に関わっていて、残るは魔封剣姫と極天女帝しかいません。ですが、魔封剣姫は邪神の宮殿で戦禍の邪神の復活を阻止すべく見守っていますし、極天女帝は六聖陣のボス的な存在ですから、さすがにレベル上限解放には関わってこないでしょう。


となると、さらにこの調子で上限解放クエストを作り続けるならば、六聖陣に変わる別の存在を生み出さなければなりません。変なたとえですが、ライオン仮面が捕まって、弟のオシシ仮面が助けに行ってまた捕まって、いとこのオカメ仮面が登場する、みたいなパターンに陥ってはいないでしょうかww
ここまでレベル上限解放クエスト自体がいらないんじゃないか?ということを書いてきました。矛盾するようですが、解放クエスト自体は別にあっても良いとも思っています。心配な点をまとめておきますと、主に次の2点です。
- 六聖陣のうち4人までがレベル上限解放に関わるクエストを続けてきて、今後もさらに小刻みに追加していくのであれば、そのネタ切れ、およびワンパターン化に対する懸念
- これからドラクエ10を始めるプレイヤーや、サブキャラ育成を行う場合、上限レベルを解放するたびにクエストを受けねばならず、その数が既に21話にもなっており、今後もさらに増えていきそうなので、それらをこなしていくのがかなり面倒に感じられてしまうのではないか。つまり新規層やサブキャラ育成におけるモチベーション維持に対しての懸念
おわりに
今回の記事については、最初の方で引用した、ヨモゲームさんのツイート内容に触発されて書いたものです。
わたしは4垢多キャラ勢で、合計で16キャラもいることは何度も書いていますが、特に能動的な育成をしているキャラは半分くらいです。それ以外のキャラクターは、畑の水やりや職人のギルド納品などを除き、基本的には放置状態なのですが、それでも酒場に預けると、酒場スタッフが雇用してくれるので、放っておいても経験値が入っていきます。そのため気がつけばレベルがカンストしてしまっていて、上限解放クエストをやらざるを得なくなったことも、何度もあります。
先日の記事でも書いたように、わたしがキャラを多く育てているのは、ストーリーを繰り返し楽しみたいためでもあるので、それほどクエストやストーリーをすることがイヤになることはないのですが、そんなわたしですら、レベル上限解放の回数があまりに多すぎることもあって、スキップできればいいのに、と思ってしまうこともあるのです。
「レベル上限解放を終えると、またレベル上限解放が始まる」という、ヨモゲームさんが書かれた内容に対して、多キャラ勢の立場からも共感できましたので、ちょっと記事にまとめてみたくなりました。
ドラクエ10は、職業レベルをカンストさせなければ楽しめないゲームでもないし、まして全職業のレベルを上げなければならないゲームでもありません。だからレベル上限解放もやりたい人だけがやればいい、それはもちろん事実です。ただ、そうは言っても、やはりある程度のレベルに上げなければ勝てない敵だっていますし、そういう敵とのバトルを楽しみたいなら、レベル上限解放を避けては通れません。
順次これまで上限を解放してきたプレイヤーと違い、上限解放クエストが目の前に20以上も積まれてしまうのは、ちょっと後発勢には酷かなとも思いました。初期クエストの一部だけでもスキップできるような柔軟性が、これからのドラクエ10運営にも必要な部分があるのではないかと、そのように感じています。
